簡単にファンダメンタル分析方法を知りたい投資家向けの記事です。
企業の業績が順調なのか?不調なのか?をチェックすることは、とても重要なことです。
だれもが「希望に満ちた成長企業に投資がしたい!」や「経営基盤が盤石な優良企業に投資がしたい!」と考えている一方で「沈みゆく泥船企業には絶対投資したくない!」と考えているでしょう。
どんな企業に投資するかは、投資家自身で選ぶことができます。しかし「企業を選ぶための指標はどこに書いてあるのか?」「どの指標をみればよいのか?」「指標が何を意味しているのか?」など企業選びはとても難しいです。
そのためこの記事では、長期株式投資さんの著書を参考に、ファンダメンタル分析をする時に知っておきたい最低限のチェック項目をまとめました。
沈みゆく泥船企業を選択しないよう、最低限のファンダメンタル分析は身につけておきましょう。
【どこでみる?|情報源3つ】
ファンダメンタル分をチェックするための情報源として「決算短信」「有価証券報告書」「かぶたん」の3つを紹介させていただきます。
この記事では、みなさんご存じ【9433|KDDI】を例に紹介していきます。
①決算短信
決算短信とは、企業の決算発表の内容を簡易的にまとめたものです。
決算短信は年に4回(3カ月ごとに)発表されます。
決算短信は決算後、45日以内に発表されます。
決算短信は最新情報をいち早くチェックできる情報源です。
現在の実績や今後の業績予測が記載されているため、個人投資家の注目度も高く株価を動かす重要な材料となります。
②有価証券報告書
有価証券報告書とは、正式な決算報告書です。
有価証券報告書は年に4回(3カ月ごとに)発表されます。
有価証券報告書は決算後、3カ月以内に発表されます。
有価証券報告書は、監査法人により監査済みの情報が記載されているため、信頼性が最も高い情報源となります。
有価証券報告書の【企業の概況】をみれば過去5年分の業績データをまとめてみることができます。
③かぶたん
かぶたんは「決算短信」と「有価証券報告書」の内容をみやすく記載しているまとめサイトです。普段使いであれば「かぶたん」の方が使い勝手が良いでしょう。
私の場合は主に「決算短信」と「かぶたん」で企業のファンダメンタルを確認しています。
【なにをみる?|重要指標8つ】
ファンダメンタル分析でチェックしておきたい指標を8つに厳選し「最重要項目」と「重要項目」に分けました。
最重要項目は「EPS」「年間配当金」です。この2項目は株価に大きな影響を与えるため、すべての投資家が必ずチェックすべき項目です。
重要項目は「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「自己資本比率」「営業活動によるキャッシュ・フロー」「配当性向」です。この6項目は企業の成績・財務健全性・経営実態を把握する上で大切な指標になるため、できればチェックしておきたい項目です。
重要指標8つを「決算短信」と「かぶたん」で見ていきます。
①EPS(1株あたりの当期利益)
EPSは「企業の価値」や「収益性(稼ぐ力)」を表す指標であり、他年度と比較することで「企業の成長性」を表す指標です。
決算短信でEPSを見るときは「去年度EPS・今年度EPS」と「来年度EPS予想」を必ずチェックし、その企業のビジネスは順調に進んでいるかを確認しましょう。
〈EPSの計算式〉
EPS(円)=当期純利益÷発行済株式総数
EPSは当期純利益が増加(売上高が上昇,売上原価や販管費が減少)する場合や自社株買い(企業が自己資金で自社の発行済株式を買い戻す)などで上昇します。
EPSの上昇は、株価を上昇させる大きな材料となるため、絶対に要チェックしておきましょう。
②年間配当金
年会配当金とは、企業からの利益還元です。
配当金は一般的に年1回もしくは2回の配当があります。
投資家の中でも配当金を目当てに株式投資をしている方はとても多いです。
そのため増配のニュースは、その企業に注目が集まり株価を上昇させる大きな材料になります。
また配当金を安定して出している企業の株価は値崩れしにくく、株価も安定している傾向にあります。
配当金を見るときは、過去と比較し減配されていないか、着実に増配されているかをチェックしておきましょう。
③売上高
売上高とは、商品やサービスの提供など本業によって得た収入のことです。
チェックポイントとしては、売上高が増加(成長)しているかを確認しましょう。
④営業利益
営業利益とは、本業で利益をいくら得ているのかを見るための指標です。
〈営業利益の計算式〉
営業利益=売上高-(売上原価+販売費および一般管理費)
・売上原価:商品原価
・販売費:広告宣伝費や運送費など
・一般管理費:家賃光熱費や消耗品費など
チェックポイントとしては、営業利益が増加(成長)しているかを確認しましょう。
⑤売上高営業利益率
売上高営業利益率は、本業の収益力・経営効率を把握するのに適した指標です。
売上高営業利益率が高いほど経営効率が良く本業で稼いでいることを示し、売上高営業利益率がマイナスだと本業が赤字になっていることを示しています。
売上高営業利益率は5~15%だと収益性が高く、経営効率が良いとされています。
0%以下だと赤字経営,15%以上だと利益を追求し過ぎて社員への過負荷やサポート不良が起きやすいため注意が必要です。
※売上高営業利益率はセクター間で差があるため、数値の良し悪しは同じセクター内の企業間で比較する必要があります。
〈売上高営業収益率の計算式〉
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
⑥自己資本比率
自己資本比率は、数値が高いほど負債が少なく財務健全性が高いとされています。
一般的には自己資本比率は50%以上あれば、財務が健全で倒産しにくい企業であるといえます。
※自己資本比率はセクター間で差があるため、数値の良し悪しは同じセクター内の企業間で比較する必要があります。
〈自己資本比率の計算式〉
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
⑦営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、本業における現金収支を表す指標です。
キャッシュ・フロー(現金収支)はごまかせない数値のため、企業の経営実態を把握する上で貴重な情報となります。
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスであることが望ましいですが、ビジネスは1年単位で進められているわけではないので、単年度でのマイナスはそこまで重要ではありません。
しかし営業活動によるキャッシュ・フローが何年もマイナスになっている場合、経営が危機にあることが多く注意が必要です。
チェックポイントとしては、営業活動におけるキャッシュ・フローがプラスになっていることを確認しておきましょう。
⑧配当性向
配当性向は企業が1年間で儲けたお金からどれだけ配当金として株主に還元しているかをみるための指標です。
配当性向が低い場合は増配余力が大きく、高いと増配余力が少ないことを示しています。
つまり配当性向が低い企業は今後増配する可能性が高いのに対して、配当性向が高い企業は業績の悪化や減配リスクが高くなりやすいため注意が必要です。
配当性向は一般的に20~30%が多く、50%以下が望ましいとされています。
〈配当性向の計算式〉
配当性向(%)=1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益(EPS) × 100
チェックポイントとしては、配当性向が高くなりすぎていないかを確認しておきましょう。
【まとめ】
本記事では、簡単にファンダメンタル分析をするための「情報源3つ」と「重要指標8つ」を紹介してきました。
「決算短信」や「かぶたん」を見るときは、最低限この8項目だけでもチェックしておきましょう。慣れれば1分もかからずに確認することができます。
たった1分の確認で、沈みゆく泥船企業を選ぶ確率はかなり減りますので、株式投資で大損しないためにも即実践して頂くことをおススメします。
今回参考にさせて頂いた書籍は、長期株式投資さんの「超配当株投資」です。
この書籍1冊あれば、株式投資に必要なファンダメンタル分析や優良な高配当銘柄の判断基準を学ぶことができます。また長期株式投資さんが死ぬまで保有したい超優良銘柄を46銘柄紹介しています。高配当株投資をする方なら手元に置いておきたい1冊となっています。
長期株式投資さんの著書を参考に高配当株投資を学べる記事を作成しました。
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